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★浦里酒造店さんご紹介記事 第3弾です。

浦里酒造店の日本酒の銘柄

浦里酒造店の銘柄は、主に5つ。

【霧筑波】【知可良】【浦里】【URAZATO】【福笑】です。

私が現時点で把握している種類を以下にあげてみました。

 

●特定名称酒【霧筑波】(きりつくば)
大吟醸:本生/本生(瓶囲い)/紺ラベル
純米大吟醸:氷温1年熟成/別撰
吟醸:本生
特別純米:定番酒/本生/下妻米/吉沼米
特別本醸造:300mlは生貯蔵酒
うすにごり:無濾過本生
初搾り:本生/本生(うすにごり)
純米酒:定番酒
山廃:純米吟醸(本生)/特別純米/吟醸
朝霧:大吟醸(本生)
夜霧:特別本醸造(生貯蔵)
夕霧:純米酒(ひやおろし)
ピュア茨城:しずく/なま(蔵なま)/火入れ(秋あがり)

●浦里酒造店最高級酒【知可良】(ちから)
大吟醸 氷温3年熟成

●2020年8月新ブランド【浦里】(うらざと)
純米大吟醸/純米吟醸

【URAZATO】PROTOTYPE (うらざと ぷろとたいぷ)
純米吟醸 原酒

●普通酒【福笑】(ふくわらい)
上撰

 

最新のリリース・販売状況は、本ブログの下にあるリンクから、浦里酒造店さんのホームページでご確認ください。

 

さて待ちに待った試飲タイム♪ 

写真右から、各酒のご紹介と私のテイスティングコメント書いてみました♪

●【霧筑波】初搾り:本生(うすにごり)

下妻産の酒造好適米「五百万石」100%使用した、うすにごり酒。

伝統の槽搾りでゆっくり圧をかけて搾られ、きめ細かな滓は味わいの深さを、香りは小川酵母で醸されたフレッシュなバナナの香りを楽しむことができます♪

年末からお正月にかけて一年の終わりと始まりを爽やかな「霧筑波 初搾り」で迎えたい方が多いのではないかなと、すっきりなのにまた手を伸ばしたくなる、そんな日本酒です。

“にごり”は濃醇なイメージがありますが、すっとしていて食中酒に向く1本です。

●【霧筑波】山廃:吟醸

富山県産の酒造好適米「五百万石」、小川酵母、生酛系山廃酒母を使用し氷温冷蔵庫にて1年間熟成させたお酒。

“山廃なので燗酒が合うのでしょうね” “でも吟醸だから冷酒じゃないと”とラベル見ただけではちょっと混乱します。

まず冷えた状態で口に含むと、すっきり爽やかなのに、ほんのりした甘みと酸が奥から「ここだよー探してー」っていうほどの大人しさ。

仕込水は中軟水ということもあり滑らかな口当たり、でもキレはGood。

常温になりまた改めて飲んでみると、今度は甘みと柔らかさが出てきて、想像していた山廃のドーン!という酸がなくてあまり山廃が得意でない私でもスルスル飲めてしまいます。吟醸ですが香りも抑えられていて、小川酵母を極めた酒造りをしていらっしゃる浦里酒造店さんならではの山廃吟醸は他蔵にはない上品さを感じました。

●【霧筑波】うすにごり:無濾過本生

2つ上でご紹介した【霧筑波】初搾り:本生(うすにごり)を氷温冷蔵庫で低温熟成させたお酒。

上立ち香は、熟成前の香りと一緒ですが、低温熟成もあって含み香はラフランスのような上品な香りに変身♡

口当たりもシルクのようにスルスルと喉越しよく、和食ならば夕食はこの1本だけで晩酌できそう。

●【霧筑波】純米酒:定番酒

15度以下で低温貯蔵させた二夏越熟成酒。

寝かせた分、主張しすぎない穏やかな香りで、軽くてまろやかな口当たり。

霧筑波らしく酸は控えめですが、米の旨味がしっかり乗っているのでお燗をつけることで膨らみが増しそう。どの温度帯の燗がベストなのか試してみたいですね。

●【URAZATO】PROTOTYPE 純米吟醸 原酒

“洋食とペアリングする日本酒”をコンセプトに2020年から試験醸造しているお酒。

通常20%前後の麹歩合をほぼほぼ全麹に近い形で生酛で仕込んでいるので、アミノ酸のような旨味が凝縮されており、一言でいうと甘酸っぱいお酒。しかし白麹仕込みではありません。

地元のイタリアンレストランに好評とのことで、ピザやパスタなどオイリーなものをサッと流してくれるキレが評価されているのかも。

原酒ですし炭酸で割って“日本酒版スプマンテ”のような飲み方でも面白いかもしれません。

●【浦里】純米吟醸

これはですね、解説の前にお伝えしたいのですが…….衝撃的な美味しさ!!!です。

現代の日本酒ラバーが好む“フルーティーな香り”に代表されるカプカプ香(カプロン酸エチル)かつ甘めのお酒ではなくて、「すっきりしているのに美味しさの余韻が残るみずみずしいお酒」で、女性や若年層の方々に人気出そうな味わい。小川酵母を使用していますが、ミルキーな香りを感じました。ひたち錦+小川酵母でこんなお酒が造れるの?すごく美味しい。本当に美味しい。

やぼったさや、私が私が!と主張することなく、苦味も残らない、どんなお食事にもあうシームレスなお酒。

2020年8月にご自身の名字【浦里】をブランドに、茨城県外の人など多くの方々に飲んでほしいと、6代目・浦里知可良さんが醸造責任者として最初にリリースした日本酒です。現在、13店舗の酒販店さんでお取り扱いがあるそうですが、これはぜひ飲んで欲しい1本です。

 

【浦里】ブランドを立ち上げた6代目・浦里知可良さん

浦里社長のご長男で、浦里酒造店6代目となる浦里知可良さん。

酒造技術者の登竜門、東京農業大学の醸造科学科を卒業し、最初に酒造りに携わったのは【出羽桜】を醸す出羽桜酒造株式会社(山形県天童市)。

出羽桜で2年半酒造りの基礎を学んだ後、酒造業界では一度飲んだらとりこになる酒と名高い【旭興】を醸す渡邊酒造株式会社(栃木県大田原市)で一冬の間、渡邊社長の一本一本にかける熱量、目標の数値に向かって実験や研究を行うようスタイルを学んだそうです。

その後、財務省所管の独立行政法人酒類総合研究所【NRIB】(広島県東広島市)へ1年半所属し、酵母の研究を行い、トータル4年半の修行後、2018年に蔵入り。2019年11月より醸造責任者を務めています。

「浦里家の長男として最初から蔵を継ぐことは決めていたのか?」と聞いてみたところ、蔵を継ぐことを決めたのは高校2年時。

理系に進み教員を目指そうと大学を選んでいた時に脳裏に浮かんだのは、酒蔵を継ぐことよりも家を継ぐことに想いを馳せたそう。

「遠回りして酒の世界へ入ることも考えたが、どうせやるなら寄り道しないでその道を極めたいと東京農業大学に入学しました。」

と知可良さん。

「斜陽産業に不安はないか?」と聞いてみると、

「不安はあるけど頑張れば頑張った分だけ返ってくると思うし、そこで得た経験は決してゼロにはならない。」

「着物は、お正月や成人式などおめでたい席に着るものになってしまったが、日本酒もそうなりかねない。」

「一般的な社会人を経験した後、酒造に関わることも考えたが、着物のように10年後スタートだったら業界が変わってしまうと思った。」

と非常にポジティブで力強い言葉が返ってきました。

着物の着付けをする私にとっても、とても心に刺さる一言であったとともに、知可良さんのような若い造り手さんがいばらき地酒を引っ張っていってくれるかと思うといばらき地酒、これからしばらくおもしろい世界を見ることができそうです♪

そうそう、「知可良(ちから)」というお名前。珍しいですよね。

1952年に分離培養に成功し茨城県生まれの酵母「小川酵母」を誕生させた小川知可良さん。著名な日本画家として知られる小川芋銭の三男として1909年に茨城県牛久市に生まれ、旧制龍ヶ崎中学、旧制水戸高校、東京大学を経て、大蔵省国税局に入り、のちに仙台国税局鑑定官室長を務め、この間、東北地方各地の酒蔵に足を運び、酒造技術の指導を行い、多くの優れた杜氏を育成した有名な方。日本酒にお詳しい方ならご存知でしょう。

小川酵母は、日本醸造協会登録10号酵母として、現在は広く日本中の酒蔵で使用されるようになりました。

「知可良」という名前に込められた想いは、小川酵母を極めた酒造りを醸造理念としている浦里酒造店にとってこの上ない命名であり、浦里社長のご子息への愛をひしひしと感じました。

また、浦里酒造店の最高級酒は【知可良】は、2019年の茨城国体レセプションで乾杯酒として選ばれ、ご臨席の今上天皇皇后両陛下もお召し上がりになられました。 

©︎浦里酒造店

「すごいサラブレッド誕生しちゃったな」と知可良さんを王子様のようにお話しを聞いていましたが、知可良さんご本人はとても真面目で、まっすぐ純粋に目標達成のために研究熱心な男性であることがわかります。

端正な顔立ちの美しいお顔なのは写真から拝見できますが、斜に構えるような擦れたところが一切なく、失敗と成功を繰り返しながら自らの経験を積んでいこうという気概のある青年でした。

脇目も振らずストイックな人という言葉がぴったりの知可良さんは、造りで多忙な中、TwitterとInstagramで情報発信しておりますので、ぜひフォローしてみてくださいね。

今後、日本酒業界に“知可良”旋風が巻き起こることを楽しみに、次回もまた遊びにきます!といってこの日は次の目的地へと蔵を後にしました。

 

お昼は、蔵のすぐ近くの大衆食堂「あづまや」さんへ

次の目的地まで、車で20分程度かかるため、タクシーを呼ぼうと思ったら、「一緒にお昼ご飯食べにいきましょう!」と浦里社長にお誘いいただき、蔵からすぐ近くの「お食事処 あづまや」さんへ。

私はあづまやさんおすすめの「五目そば」

ボリュームたっぷりの「もつ定食」

浦里社長は「串カツ定食」でしょうか・・・?

いわずもがな田舎のほっこりする美味しい定食屋さんでした。

サンプルも美味しそう・・・!

お腹いっぱいになった後は、次の目的地まで浦里社長が愛車のベンツで送ってくださいました。

霧がかかった筑波山を背景に「これこそ霧筑波やっ!」といって写真撮影して遊ぶ私たち。
(浦里さんをいじって遊んですみません・・・v(▼ω▼メ)ゞ)

 

浦里酒造店さんへ蔵見学に伺い、改めていばらき地酒の現状をお聞きして。

日本国内で1年間に飲まれるアルコール摂取量のうち日本酒の割合。
10年前は約12%ありましたが、現在その半分を切ってしまい6%弱。

こと茨城県の県産酒の県内消費率をみてみると約16%、過去最低から少し脱出できそうな近年ですが50%くらいまではいきたいところ。

私の地元のスーパーは新潟県酒の販売スペースが昔から広いなとは思っていましたが、新潟県のお酒が一番置いてある県は、なんと茨城県なのだそう。

この事実を茨城県民の皆さんに知っていただき、いばらき地酒を飲んだり、県外の方々にプレゼントしたりすることを通じて、茨城県酒消費量が2倍になるだけで、酒蔵の存続、ひいては茨城県の数少ない酒文化の継承に繋がると感じています。

私はいばらき地酒のPR活動を微力でもできたらと心新たに思うのでした。

かなりパワーアップした近年のいばらき地酒を、皆さんもぜひご賞飲いただけましたら嬉しいです♪

SAKE MEGURI のトップ「Recommended!」ページで、いばらき地酒の購入場所を記載しておりますので、ご購入の参考になさってください↓↓↓
https://sakemeguri.com/recommended/

浦里酒造店さんへの見学は、ずっとお腹を抱えて笑いが止まらないほど楽しくて、まだまだ書きたいことがありますが、すでに長くなってしまいましたので今回はこの辺で。

また蔵へお邪魔したら、引き続きサケメグリブログでUPしたいと思います。

それでは、また!

 

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①【県南酒蔵見学】合資会社浦里酒造店をご紹介いたします!
②【県南酒蔵見学】合資会社浦里酒造店へサケメグリにいってきました!

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合資会社 浦里酒造店
URAZATO Shuzōten Co., Ltd.
代表者:浦里 浩司(Kōji Urazato)
創業:1877年(明治10年)
住所:〒300-2617 茨城県つくば市吉沼982
TEL:029-865-0032
Web:https://www.kiritsukuba.co.jp
蔵見学:予約制(事前打ち合わせ要)
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