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つくばワイナリーとは

茨城県つくば市の北部・北条地区に醸造所を構える「つくばワイナリー」。

茨城県住宅供給公社が450戸分の宅地分譲地として計画していた(仮称)北条住宅団地建設事業の廃止に伴い、茨城県内で不動産賃貸管理業を営む株式会社カドヤカンパニーが、土地を一括購入した場所。

株式会社カドヤカンパニーは、1895年に小売店「角屋」として現在の茨城県小美玉市羽鳥で開業。「角屋百貨店」として法人化した後、「スーパーカドヤ」としてスーパーマーケットの経営を行い、現在は不動産管理業を主な事業とされています。

スーパー経営していた当時、“問屋やメーカーから商品を仕入れて販売するだけでは面白みがない”と感じ、2005年に和菓子製造直営販売を開始。しっとりやわらかでこだわりの黒糖饅頭「みつお万寿」が大ヒット商品に。

次の戦略として広大なつくば北条の土地を購入。2011年にワイナリー事業部を創設し、2012年から葡萄栽培が始まりました。

紆余曲折ありながらも2014年に山梨県での委託醸造により自社ブランドワインを初リリース。2019年にショップ併設のワイン醸造所が完成し、つくば産葡萄をつくばで醸した、初のつくば産地ワインが誕生しました。現在は多くのお客様で賑わいを見せています。

つくばの山奥にあるつくばワイナリーの面積は、東京ドーム約3個分。

18ヘクタール(18ha)もありますが現在使用しているのはその約1/3の5ヘクタールほど。

収穫された葡萄は、自社醸造のワイン、葡萄を送り他の醸造所で醸造委託したワイン、ワインを生産する企業へ葡萄を販売するなど、さまざまな方法で愛用されています。

【TWINPEAKS】(ツインピークス)をフラッグシップブランドに、【TSUKUBA ROUGE】(つくばルージュ)、【TSUKUBA BLANC】(つくばブラン)、【TSUKUBA PRIMO】(つくばプリモ)などの銘柄が展開されています。

 

つくばワイナリーで栽培されているぶどう品種

つくばワイナリーでは、現在、以下の5種類のワイン用ぶどうを育てています。

  • 富士の夢(ふじのゆめ):行者の水×メルロー種
  • 北天の雫(ほくてんのしずく):行者の水×リースリング種
  • メルロー
  • シャルドネ
  • マルセラン(≒マルスラン):カベルネ・ソーヴィニヨン×グルナッシュ種

現在の作付け割合ですが「富士の夢」が約50%。「北天の雫」が約30%。西洋品種「メルロー、シャルドネ、マルセラン」が合わせて約20%。

富士の夢と北天の雫を多く産出する理由は、志村葡萄研究所の所長・志村富男さんから提案を受けたことがきっかけでした。

ワイン好きなら知らない人はいないワイン育種家の志村さんは、マンズワインに34年在籍し、生食用葡萄、醸造用葡萄、ワイン醸造まで一貫して指導できるぶどうとワイン造りのプロフェッショナルで、国内外で知られる専門家です。

日本の気候に適している日本原産のぶどう品種の中から、志村さんが交配・育種された富士の夢と北天の雫を最初に植えたつくばワイナリー。

通常、定植から収穫まで数年かかるところ、翌年には収穫ができたそうです。

また、つくばワイナリーで特筆すべきは、海外でも生産が希少な黒ぶどう品種『マルセラン』を栽培していること。

現在、日本国内でマルセランを生産しているぶどう農園はつくばワイナリー含めて2件のみで、今後は『マルセラン』の生産面積を増やしていく計画とのことです。

その希少な『マルセラン』という品種の詳細については、次回のブログにて詳しく解説していきたいと思います。

 

つくばワイナリーのぶどう畑

私がつくばワイナリーを訪れたのは、2020年12月初旬。

ぶどう収穫はすでに終えてしまい、残っているのは粒状の葡萄が少量。

「収穫前で葡萄が一番美味しい9月頃に来てくれればまたご案内しますよ。」と、ご多忙の中、今回のワイナリー見学を受け入れてくださった株式会社カドヤカンパニー専務取締役・岡﨑洋司さん。

小雨が散らつく中、まずは醸造所周辺の畑を見学。

畑の奥側から手前に向かって、シャルドネ、メルロー、北天の雫、マルセラン。

現在、すべて垣根仕立てでぶどう樹は栽培されています。

垣根仕立ての場合、棚田仕立てより栽培は難しいですが、一樹あたりのぶどうの収穫量を制限できるため、ぶどう一粒一粒の凝縮度を高めることができるのが特徴です。

最初に見つけた、干しぶどうになっていた【マルセラン】を試食。

少し渋みを感じる味わい。ワインにしたらどのような表情になるのか想像しながら味わいました。

富士の夢、北天の雫の日本品種の栽培に慣れてきた4年目に、ヨーロッパ品種であるメルロー、シャルドネにチャレンジ。

ヨーロッパ品種を日本の気候でつくる場合、もしかしたら色があまりでないかも知れないとのことで、つくばの高温多湿の環境に合うフランスの品種・マルセランも同時に植えてみたそうです。

次に、日本の山葡萄品種「行者の水」とヨーロッパ品種「リースリング」のハイブリッド品種の【北天の雫】を試食。

マルセランより少し甘く、りんごのような穏やかな香り、リースリングの持つ酸もしっかり主張していました。

日本の山葡萄品種は病害に強く、ボディがあるため、リースリングの軽やかさで調和させているのかも。

葡萄の果粒がほとんどなく、小雨の降る中、私たちのためにせっせと歩いてくださった岡﨑さん・・・!

最後に見つかったのは、フランス・ボルドー地方原産の【メルロー】。

あ・・・甘い!完熟していて美味しい。食用としてこのままでも食べられるそうです。

皮ごと食べることのできる美味しくて高価な葡萄の王様・シャインマスカットの糖度が16〜17度程度。

その食用のシャインマスカットと比較し、試食させていただいた今回のワイン用ぶどうの完熟したメルローの糖分は23〜25度と高いので相当甘いですが、いかに糖度あげるかがワイン発酵(アルコール度数)の幅を広げるため、毎年作柄を見極めて、いつどの畑のどの列のぶどうをタイミングよく収穫するかが肝となります。

そして、このぶどう畑と醸造所を囲む通りは、2ヶ月前に「BIKE & FES 2020」4,000人ほどが集まり、自転車レースのスタート地点になったそうで、ソロキャンパーもたくさん訪れたそうです。

広大な土地で、ぶどう畑を背に野外のイベントできたら楽しいですよね。

 

つくばワイナリーの醸造所見学

1本のぶどう樹からワイン2本分の葡萄が取れるつくばワイナリーでは、現在、葡萄の樹を約6,000本育てており、年間で約12,000本のワインが生産されています。

醸造所では、醸造責任者の北村 工さんが醸造所内を案内してくださいました。

北村さんは、ぶどうの栽培とワイン醸造の責任者として2017年の冬からつくばワイナリーに参画。もともとは陶器を造る仕事に従事していたそうですが、次第に器の中身である食物や発酵へ興味を持つようになり醸造家の道へ進んだという異色の経歴です。

初めは栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーで醸造と栽培の研修を受けた後、小規模なワイナリーで4年間。その後東北でワイナリー立ち上げに1年半従事したベテランです。ニュージーランドでも醸造に関わったことがあるそうです。

つくばワイナリーに転籍してからは、醸造管理はひとりで行い、仕込みの時は何名かに応援を頼みます。

ラベル貼りは、お一人で1枚1枚丁寧に手作業で行っています。

醸造所に入ると最初に目に入ったのは、除梗破砕機と、ワインプレス機。

ワインプレス機は、ワイン醸造の工程で、破砕したぶどうから果汁を搾るために用いられる機械で、別名「圧搾機(あっさくき)」「搾汁機(さくじゅうき)」とも呼びます。

目指すスタイルのワインによって、プレスする圧力をコントロールします。一度に800kgのぶどうを処理するそうです。

 

左奥の部屋へ進んでいくと、左奥正面が分析室、右奥には12本ほどタンクが並びます。

右奥のステンレスタンクは赤ワインの仕込み用タンク。

除梗破砕したぶどうはそのままタンクへ。果皮がついたまま発酵させて、発酵終了したらプレス機で搾ります。

発酵している時に上に浮かんできた果皮を沈めてあげる作業(パンチダウン)を行うため、タンクの蓋が大きいほうのステンレスタンクで赤ワインは仕込みます。

そして、白葡萄用タンクは、澱引きの時に使いやすいバルブ口が2つついており、まず上澄みだけ上から取って、その後蓋を開けて綺麗な液体だけ抜き取り、最後に沈澱した上澄を取るためについています。

その後、清澄・濾過を行い、瓶詰めされて出荷されます。

日本酒酒蔵をめぐっている私にとっては、タンクに巻かれているジャケットといえば黒いマットを想像しますが、ワイン用タンクはステンレスなのですよね。

冷水が回るジャケットがついているタンクは、8℃で貯蔵・管理されています。

背の低いタンクの足は、なぜ四角いのだろう?と不思議に思っていたのですが、下にフォークリフトのフォークを差して移動するためのもの。

網が重なっているものは、瓶詰めした瓶をいれておくキャリーで、350本ほど入れておけるそうです。

 

さて、次回の続編では、つくばワイナリー併設のショップ、つくば市北条の土壌やテロワール、つくばワイナリーで育てている希少な黒ぶどう品種「マルセラン」について掘り下げていってみたいと思います。

♦︎つくばワイナリー 続編♦︎
→世界で注目『マルセラン』を栽培するつくばワイナリー!

 

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つくばワイナリー
Tsukuba Winery
代表:岡﨑 洋司(Yōji Okazaki)
開業:2011年(平成23年)
住所:〒300-4231 茨城県つくば市北条字古城1162-8
TEL:029-893-5115
TEL:090-3908-5115 ※畑作業等で不在の場合。
Web:https://tsukuba-winery.kadoya-company.com
Shophttps://twinpeaks.buyshop.jp (Online)
営業時間:13:00〜17:00(土日祝 10:00〜17:00)
定休日:月曜日
運営:株式会社カドヤカンパニー
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