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現在、つくばワイナリーでは、黒ぶどう3品種、白ぶどう2品種を栽培しております。

その中のひとつ、世界で希少な黒ぶどう品種の『マルセラン』について解説していきたいと思います。

 

『マルセラン』の誕生

黒ぶどう品種『マルセラン(Marselan)』は、赤ワインで最も有名なボルドーの黒ぶどう品種「カベルネ・ソーヴィニョン Cabernet Sauvignon」と南仏の黒ぶどう品種の代表「グルナッシュ Grenache(ガルナッチャ Garnacha)」の交配品種です。

1961年にフランス国立農学研究所(INRA:Institut national de la recherche agronomique)のPaul Truel(1924-2014)氏によって生み出された黒ぶどう品種で、南仏地域のオクシタニー(Occitanie)地域圏が発祥です。

©︎フランス観光公式サイト

オクシタニー地域圏って…?と一瞬戸惑いましたが、元のラングドック・ルシヨン(Languedoc-Roussillon)地域圏とミディ・ピレネー地域圏が2016年1月1日に統合され、フランス全土の約1/8程度の大地域圏となったエリア。

オクシタニー地域圏内・エロー県(Hérault)の沿岸部・マルセイヤン(Marseillan)という土地で最初に栽培されたことから、『マルセラン』という名前がついたのがマルセラン種の由来です。

フランスの高級ワイン産地といえば、南西部のボルドー地方や、東部のブルゴーニュ地方が有名ですが、日照量に恵まれ、乾燥した気候である南仏のオクシタニー地域圏のヴァン・ドゥ・ペイは、ペイ・ドック(Pays d’Oc)IGP と明記され安価な産地ワイン・テーブルワインの産地で、フランスの赤ワインの約半数がこの地域で生産されています。

この地域で育種されるマルセランは小粒ゆえに生産効率が低く、栽培面積が小さいため少量栽培されている珍しい品種です。

また、晩熟タイプで、遅霜の被害を受けにくく、乾燥した土壌を好みます。

灰色かび病やウドンコ病に対する耐性があり、ダニによる被害も少ないマルセランは、気候変動に対応できる上に熟成にも耐える素晴らしいワインを生み出す品種として、近年注目されています。

ぶどうは小粒であるため、ワインにすると色が濃く、凝縮感があって熟成にも耐えるポテンシャルを持ちます。

 

フランス・ボルドーで認められたマルセラン

1961年産まれの比較的新しい品種のマルセランは、品質の保持と、産地名称を保護するためのAOC規定の対象外とされていました。

AOCとは、「アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ(Appellation d’Origine Contrôlée)」の略で、ワインの製造過程および最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される称号。

日本語では「原産地統制呼称制度」とよばれ、簡単に言うと、産地の個性と品質を守る法律で、その土地の人以外に名称を勝手に使わせないようにすると同時に、品質を保証し生産者および消費者を保護しています。

フランスではワインのみならず、チーズ、バターなどにも付与される認証であり、ラベルには“AOC”と表記されています。

日本酒でいうと、地理的表示のGI(Geographical Indications)に近い概念です。

マルセランのようなハイブリッド品種はヨーロッパを中心に、AOC規定に則ったワインへの使用がこれまで禁止されていましたが、昨今の温暖化などの気候変動の農作物への影響が非常に大きく、ワイン生産の歴史あるボルドーでは気候変動に耐えうる品種育成の課題に直面していました。

それを受け、2019年6月28日のAOCボルドーおよびボルドー・シュペリウールのワイン生産者連合の総会において、気候変動に適応した新たなぶどう品種7種がAOC規定への導入が承認され、その品種のひとつにマルセランが選ばれたのです。(2019年に承認された品種はこの他に、赤ワイン用ぶどうは:アリナルノア、トゥーリガ・ナショナル、カステ、白ワイン用ぶどうは:アルヴァリーニョ、リリオリラ、プティ・マンサン)

ラングドック、南ローヌ、プロヴァンスエリアでは、シラー、カリニャン、ムールヴェードルなどの地元で生産される品種とマルセランをブレンドすることが多く、今まで使用されていなかった品種が認可されれば、ワインの味わいが変わってしまう可能性があるため、伝統のあるワイン産地で産地呼称制度を導入することはかなり珍しいことですが、気温上昇と生育サイクルの短縮に伴う水分ストレスに対応できる品種が選ばれました。

現在、生産されている場所としてマルセランのルーツである南仏に加え、中国(河北省)、ウルグアイ、スペイン北西部カタルーニャ州のペネデスなど世界中でもワインの産地としてはニッチなエリアで栽培されています。

そのマルセラン種を日本国内でもいち早く栽培している「つくばワイナリー」。

ワイン愛好者の多い日本において、ゆくゆくはとても注目を浴びる場所になるのではないか、と思っています。要チェックです!

つくばワイナリーでは、2021年からマルセランの植樹・栽培の土地を増やしているので、あと数年もすれば「マルセラン種」のワインが日本においてもニュースで取り上げられてワインに興味のない方も耳にするようになる日は近いでしょう。

 

『マルセラン』ワインのテイスティングノートとペアリング

マルセランは、カベルネ・ソーヴィニョンのしっかりした骨格と、グルナッシュの果実味という、親品種の良いところをうまく引き継ぎ、バランス良く併せ持った素晴らしい品種。

先日、つくばワイナリーに訪問した際に、収穫後に残っていた粒をいただいたのですが、冷涼な地域で育ったカベルネ・ソーヴィニョンにみられる黒スグリのような香りとタンニンの渋みの凝縮感を感じました。

収穫された通常のぶどうはもう少し粒が大きいです。

私が購入したのは、3年熟成の2017年【TWIN PEAKS】マルスラン。

ワインをグラスに注ぐと、非常に鮮やかでガーネットや赤紫系の色調。

アロマは、チェリー、ブラックベリー、ブルーベリー、プラムのようなベリー系の香りに、乾燥した葉、キノコ、ナッツのような土香、そしてジャスミン、ユーカリ、ミント、黒コショウ、シナモンとクローブのスパイシーなノートを伴います。

味わいは滑らかで柔らか、酸やタンニンとのバランスが良いミディアムボディの辛口ワインです。

海外の料理なら、ミモレット生ハム巻き、スパイスの効いた野菜とレンズ豆のシチューや、ブラジルのフェイジョアーダ(豚肉と黒豆のシチュー)、

©︎https://cookpad.com/recipe/5072614(フェイジョアーダ)

和食なら、味噌だれのホルモン焼きや焼き鳥(たれ)などがペアリングで相性が良さそう♪

 

つくばワイナリーの土壌とその周辺環境

ワイン用ぶどう栽培にとって重要なポイントは水分ですが、筑波山の麓にあるつくばワイナリーは、太平洋から吹くミネラルを豊富に含んだ風が筑波山の麓にぶつかり、大地を潤します。

高台になっているため水はけが良く、風の通りも良い場所。

湿気がこもらず、日当たりも良いため病気が少ないそうです。

水はけが良く肥えすぎていない花崗岩土壌は、ミネラルが豊富に含まれ、バランスの取れた香り高いワインを形成します。

現在、つくばワイナリーで栽培しているぶどう品種5つのほかに、フルーティーさとタンニンのバランスの良い黒ぶどう品種「シラー Syrah(シラーズ shiraz)」や、ボジョレ・ヌーボーでおなじみの黒ぶどう品種「ガメイ Gamay」も、この土地に合いそう。

また、ワイナリー近くに「平沢官衙遺跡」(ひらさわかんがいせき)といって奈良時代から平安時代にかけて造営された今で言う“お役所”が存在していた場所があります。

役人が執務する建物のほかに、租税として集められた稲などの保管倉庫、宿泊・饗応の館、食事を作る厨房があったこの遺跡は、茨城県内でも大都会の官庁街であったことが想像できます。

現在この場所は、つくばワイナリーのオーナーであるカドヤカンパニーが所有しておりますが、2/3がまだ未開拓なのでこの土地でお店を開いてみたい!という方、直接ワイナリーへお問い合わせいただくか私宛(コンタクトフォーム)からでもお繋ぎしますので、ぜひチャレンジしてみてください。

さて、つくばワイナリーのショップでは、JR東日本の周遊型臨時寝台列車「Train Suite 四季島」で採用された【2019 ツインピークス シャルドネ】【2019 ツインピークス マルスラン】のほか、

@TWIN PEAKS MARSELAN PREMIUM

黒ぶどう品種「富士の夢」と茨城県北地域・常陸太田市の武藤観光農園さん「マスカットベーリーA」とのコラボレーション【TSUKUBA PRIMO】など、マルスラン以外の希少なぶどう品種を使用したワインなど販売しております。

直営ショップのほかには、スーパーマーケットの「カスミ」の店舗の一部で販売してるそうです。

詳細は、ブログ下のリンクから、つくばワイナリーへ直接お問い合わせください。

自家醸造して年数がまもないこともあり、少々価格は張りますが、日本国内でまだ希少なマルスラン100%を味わいたい方は、ちょっと遠いですが、つくばワイナリーに訪れてみてくださいね♪

では〜!

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つくばワイナリー
Tsukuba Winery
代表:岡﨑 洋司(Yōji Okazaki)
開業:2011年(平成23年)
住所:〒300-4231 茨城県つくば市北条字古城1162-8
TEL:029-893-5115
TEL:090-3908-5115 ※畑作業等で不在の場合。
Web:https://tsukuba-winery.kadoya-company.com
Shophttps://twinpeaks.buyshop.jp (Online)
営業時間:13:00〜17:00(土日祝 10:00〜17:00)
定休日:月曜日
運営:株式会社カドヤカンパニー
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