茨城県央地域(Central IBARAKI area)・茨城県水戸市に存在する酒蔵『吉久保酒造株式会社』へのサケメグリ(酒蔵めぐり)にいってきました!
2017年に水戸駅北口のペデストリアンデッキ開催の「日本酒bar vol.4」でお手伝いしたことがきっかけで、吉久保博之社長と出会ったご縁で念願の蔵見学です♪
この創業・仕込水編では、吉久保酒造の成り立ちと、酒造りに最も重要な仕込水についてレポートします☆
吉久保酒造株式会社とは
吉久保酒造株式会社は、JR常磐線 水戸駅の南口よりタクシーで約7分、徒歩で30分弱の場所にあります。
地図上の本社所在地は、水戸駅を中心にして南東方向の本町3丁目にがあります。
江戸時代中期〜末期の、1790年(寛政2年)に創業。
江戸幕府将軍は11代目、徳川家斉の時代。
2020年の来年で創業230年となる吉久保酒造は、元々は米問屋「粟野屋」を営んでおりました。
初代・吉久保清三郎さんが、”美味しい常陸のお米と笠原の水を使って酒を造れば美味しくないわけがない!”と米問屋から造り酒屋へ転向したことが酒蔵としてのスタート。
水戸の名士諸士のごひいきにあずかり、毎年、新蔵を建てるほどの繁盛ぶりだったそう。
『甕(みか)の月』『いっぴん』という2つの銘柄が誕生しました。
明治時代初期には、代表銘柄を『いっぴん』に絞り、さらに1952年(昭和27年)には酒造りの規模、販売規模を広げて株式会社化しました。
現在、吉久保酒造のフラッグシップブランド(代表銘柄)は、漢字表記で『一品』(IPPIN / いっぴん)。
シンプルな “イッピン” という発音と、”一品” ”逸品”という商品のクオリティを表現する最高のイディオムは、一度手にとったら記憶に残る銘柄。
清酒ボトルに貼っている『一品』ラベルもインパクトがあり、外国人の方々にも発音が容易なイッピン。
その、吉久保酒造の日本酒の特徴をひとことで表現すると『旨味のある辛口』。
一品のほかに、
「嚼梅(Shakubai / しゃくばい)」
「百歳(Hyakusai / ひゃくさい)」
「SABA de SHU(さばでしゅ)」<鯖専用日本酒>という銘柄の日本酒も造っています。
今回、ご案内してくださったのは、吉久保酒造株式会社 12代目代表取締役社長の吉久保博之さんです。
今回、特別に!社長自らの運転で、水戸駅往復送迎をしていただくというVIP待遇♪( ´▽`)
直接酒蔵へ向かうのと思いきや・・・?
蔵とは別の方向へ〜(´・∀・` )
吉久保酒造の日本酒の仕込水の起源を探る
日本酒は、シンプルに、米・麹・水から形成されています。
日本酒の味わい、特に口当たりや甘辛を感じる部分で、お水が果たす役割はとても大きいもの。
水戸駅にお迎えにきてくださった吉久保さんの助手席に乗り、向かった先は、「笠原水道(Kasahara waterworks)」。*1
吉久保酒造の日本酒は、この笠原水道のお水を仕込水として使用しています。
水戸駅を出て、常磐線の線路沿いに西へ向かうと「千波湖(Senbako Lake)」が見えてきます。
その昔、千波湖は現在の約3倍の面積がありましたが、水戸の徳川光圀公(水戸黄門様)が湿地帯であった千波湖周辺に問屋街をつくったところが今の水戸駅周辺の起源という諸説があります。
この周辺の下市(Shimoichi)というエリアは、湿地帯で水が綺麗ではなかったこと、また給水難を解消するために、徳川光圀公が「笠原水道」という水源地に上水道をつくりました。
総延長・約10kmにも及ぶ上水道の水源地である笠原水道は、水戸のど真ん中にあり、上水道としては日本国内で18番目に古いそうです。
吉久保酒造の酒蔵がある場所にも、水源がありませんでした。
そのため「笠原水道」の水を徳川家が市民にも分け与えようとした流れの中、吉久保酒造もその恩恵に預かることに。
蔵人が笠原水道までその水を取りに行き、生活用水として利用していました。
現在は、水源の近くに土地を購入し、井戸を掘り、笠原水道の水を引いて、タンクへ一時保管。
そのタンクにパイプを入れ、パイプを通じてトラックに載せたタンクへ移動させます。
その量は1回あたり約2,000リットル、なんと2トン!
毎朝、水を汲みにくるそうで、造りの時期に水が不足した場合には、何度も汲みに行くそうですε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
笠原水道のお水は、『一品』の日本酒そのものでした!
千波湖から偕楽園へ続く間にある千波公園は、ニューヨークのセントラルパークに次いで世界で2番目に広い市街地にある公園。
その中に水源があるのが「笠原水道」です。
笠原水道へ行く道は、尾瀬のようなウッドデッキと小さな橋がかかっており、公園には、10台ほどの駐車スペースがあります。
訪れたのは9月初旬の暑い真っ只中でしたが、とても静かで涼しい場所でした。
笠原水道には、石碑のような(?)石でできた樋があり、これを通して、水道としていたという話があります。
なんでもこの周辺を掘れば水があちこちから出てくるそうですよ^^
「お酒は水から知る必要があるから。」と、吉久保社長の運転でサケメグリをフルコースでご案内いただきました♪
吉久保さんを盗撮・・・パシャッ! Σp[【◎】]ω・´)!
駐車場から歩いて向かった先は、「竜頭共用栓」。
笠原水道の湧水をポンプであげている場所です。
竜頭共用栓は、竜の形をしていて、竜の口から水が出てきます。
竜が剣に巻き付いたものは、「倶利迦羅(くりから)」といって、火炎に包まれた竜が岩の上に立った宝剣に巻きつき、呑み込もうとしているさまを表しているのだとか。
この竜頭共用栓がある場所から上を見上げると、倶利伽羅不動(Kurikarafudou)があります。
倶利伽羅はサンスクリット語で、護法善神として仏法を護り、一切の邪悪、罪障を滅ぼす力を表現しているのだそうです。
湧水、すっごく綺麗。
ここ、水戸のど真ん中ですよ?!
吉久保さんが、日本酒グラスを用意してくださり、竜の口から出るお水を注いで飲ませてくださったのですが・・・
これが・・・超軟水っっっ!
お水をいただいた時に感じたのは、たしかに日本酒『一品』を最初に口に含んだ時のなめらかなテクスチャーそのものでした。
日本酒は、「米」「麹」「水」を基本的な原料として造られますが、その約80%が「水」です。
つまり、日本酒を飲むということは、水を飲んでいるといっても過言ではないですが、ワインやビールと異なり、繊細な味わいを持つ日本酒にとっては、水はとても重要なものなのです。
日本酒造りにおいて使用されるお水の量は、なんとお米の約50倍といわれています!
笠原水道のお水は、超軟水なので、お茶の葉からの抽出力も非常に高く、茶葉が浸透しやすそうですね〜!なんて吉久保さんとお話していたら、ポリタンクに水を汲みにきた方がいらっしゃいました。
今でも料亭や喫茶店を営んでいる方などが水を汲みにきているそうです。
(茨城県の県庁所在地のど真ん中でピュアな水が汲めるとは・・・!水戸、珍百景〜。)
このまま飲んでも美味しいこのお水が、日本酒になるんですよぉ・・・(´∀`)ハヤクノミタイ
*1:「笠原不動谷」笠原水源より徳川家の茶の湯の水 “龍の水”
この滑らかで柔和なお水を使用し、どのような味わいの日本酒になるのか。
続きは、以下続編で詳しくご紹介します!
♦︎関連記事♦︎ 続編
・【県央酒蔵見学】吉久保酒造株式会社へサケメグリにいってきました!②-働く人・海外編-|水戸市
・【県央酒蔵見学】吉久保酒造株式会社へサケメグリにいってきました!③-麹・テイスティング編-
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吉久保酒造株式会社 / Yoshikubo Shuzo
代表取締役社長:吉久保 博之
創業:1790年(寛政2年)
住所:〒310-0815 茨城県水戸市本町3-9-5
TEL:029-224-4111
FAX:029-231-6005
Web:https://www.ippin.co.jp
E-mail:info@ippin.co.jp
蔵見学:可(要予約)
営業時間:8:30-17:30(土日定休、不定休あり)
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