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木内酒造については、
前々回「【県央酒蔵見学】木内酒造株式会社をご紹介いたします!」と
前回「「常陸野ブルーイング水戸」へいってきました!」の
記事で紹介しました。

今回は、石岡市にて2020年より稼働を始めたウイスキー蒸溜所「八郷蒸溜所」へ訪れた際のレポートです。

ウイスキー愛好家の方が、見学予約申込開始前にPCを目の前に更新を待っていたところ、希望日はすでに予約が埋まってしまい予約が取れなかった。
・・・と、大変落ち込み、私に相談がありました。

石岡市にゆかりのある知人に連絡を取ったところ、予約枠は埋まってしまったので、特別枠で直接、木内社長とお会いできることに!

2022年11月に訪問しました。

まずは、八郷蒸溜所の成り立ちから。

 

木内酒造『八郷蒸溜所』の始まり

ビール生産量日本一で、今や世界的に有名な木内酒造の「常陸野ネストビール」。

フクロウのロゴでお馴染みの、”HITACHINO NEST BEER”は、1996年に木内酒造本社のある茨城県那珂市で誕生しました。

昭和初期ごろ、茨城県はビール大麦の一大生産地であったという歴史があります。木内酒造では2000年代に、地元農家とともに耕作放棄地を使用した国産ビール麦の栽培を開始します。

麦の栽培に適した土地を活用した取り組みは功を奏し、現在は年間約100トンのビール麦や小麦が収穫されています。

しかし、ビール麦として使用するために厳しい規格によって厳選する中で、ビールには向かない大麦も出てきました。

そこで、ビールとは異なる規格の麦を使用することができるウイスキーに注目。

2016年、額田蒸溜所に、蒸溜設備を導入。ウイスキー造りへの挑戦がビール工場の一角から始まりました。

2020年春、量産対応可能な『八郷蒸溜所』が稼働し、本格的なジャパニーズウイスキー造りがスタートしました。

ウイスキーの銘柄は、【日の丸ウイスキー】Hinomaru Whisky

©︎木内酒造

エチケットには、日の丸の中に、大麦を咥えた黄金色の鶴が描かれています。

昨年は初のボトルウイスキー「日の丸ウイスキーブレンデッドニューボーン2022」を販売。「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022」洋酒部門で金賞を獲得しました。

同年、石岡市東大橋にある旧石岡酒造株式会社跡地を譲受。その跡地で、2023年より精麦工場が稼働します。

現在は国産小麦のほか海外産の麦も使用したウイスキーを製造していますが、この精麦工場では麦から麦芽を造り、ウイスキー製造に当てる麦芽のほとんどを国産で賄う予定。

現在の6倍に当たる年間約600トンの麦で大量の麦芽を造る計画といいます。

「現在は那珂市の農家と契約して小麦と大麦を栽培しているが、今後は石岡市など県内各地の生産者を募り、地元産の麦や米を使って世界戦略を練るのが最終的な目標。」と木内社長。

100%国産素材のウイスキー誕生までは約3年はかかるそうです。

商品造成においては、世界を広く見てきた木内社長だからこそ「地元の豊かな地域資源をどう魅せるか」をとても大切にされていると感じました。

2026年ごろに完成する『日の丸ウイスキー』は、100%純ローカルジャパニーズウイスキー。

完成が今からとても楽しみです♪

 

『八郷蒸溜所』のサケメグリ!

木内酒造では、醸造から蒸留、貯蔵までの工程を自社施設で手掛けます。洋酒製造部マネージャーの川崎裕一さんが、蒸溜所内を案内してくださいました。

1)原料の破砕/MILLING

ウイスキーを仕込むには、まず麦芽などの原料をミルで細かく破砕します。ウイスキーとしては珍しく蕎麦やお米など複数の原料を使用。

2)糖化/MASHING

麦芽に水(60℃くらい)を加え、でんぷんを糖に分解します。八郷蒸溜所では、原料の違いで、それぞれ異なってくる糖化温度を管理しやすくするため、マッシュタン(糖化槽)とロイター(ろ過層)を分けているとのこと。

3)濾過/LAUTERING

麦芽の殻を濾過し、甘い麦汁を造ります。一度の仕込みでできあがる麦汁は約5,000リットルです。

4)冷却/COOLER

麦汁を冷却し、酵母(YEAST)を加えます。

5)発酵/FERMENTING

約7日間発酵させ、発酵液(もろみ)を造ります。木製発酵タンクとステンレス発酵タンクの2種類を使用。

木製発酵タンクを使用すると、重厚さとフルーティーさを兼ね備えたウォッシュができる一方、ステンレス製の発酵タンクを使用すると、アルコール度数が高くなりやすく、すっきりしたフレーバーになります。

また、「日本らしいウイスキー」をつくるため、清酒酵母のみで発酵させる方法にも取り組んでいます。

他にも香味の異なるウイスキーをつくり出すため、ビールで使用するイーストや日本酒用の酵母など数百種類を研究開発しているそうです。

 

6)初溜/1st DISTILL

1回目の蒸溜は、Wash Stillでアルコールを約20%まで上げます。一度で10,000リットルのウォッシュ(もろみ)を蒸溜し、約3,000リットル(Alc.20%)の蒸溜液が出来上がります。

7)再溜/2nd DISTILL

2回目の蒸溜は、Spirit Stillでアルコールを約70%まで上げます。最蒸溜の最初と最後の部分は、もう一度最蒸溜にまわし、真ん中のハートと呼ばれる部分だけを熟成させます。

発酵や蒸留を経て「ニューポット」と呼ばれる原酒の完成。
一滴たりとも輸入原酒を使用しておらず、100%自社製造の原酒で造っています。
原酒をオーク材などの樽に入れて熟成させることでウイスキーに味わいが出ます。


8)熟成/Maturation

蒸溜液を樽に詰めて熟成します。年間30万リットルを生産できる蒸溜所には、約4,000本の木製樽に詰められたウイスキーが眠っています。
 

 

『日の丸ウイスキー』テイスティングタイム

ここからは、木内社長にバトンタッチ。

特別ルームにて、数種類のウイスキーをテイスティングさせていただきました。

通常の見学では味わえない、とても貴重なお話とウイスキーの数々。
ウイスキーLOVERの皆様をお連れしたので、ウイスキー談義に花が咲きました。

1)日の丸ウイスキー The 1st Edition

茨城県産の大麦や小麦、米を一部使用し、額田蒸溜所と八郷蒸溜所でそれぞれ蒸溜した原酒をブレンドした日の丸ウイスキーのはじまりの一滴。

2)日の丸ウイスキー Blended New Born 2022

八郷蒸溜所で蒸溜したバーボン樽熟成のモルト原酒をベースに、茨城県産の小麦を用いたグレーン原酒など、自社の原酒のみを数種類ブレンドしたニューボーン。

「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022」金賞受賞酒。
ジャパニーズニューメイクスピリッツ カテゴリーウィナー受賞酒。

3)日の丸ウイスキー 2023 CELEBRATION

八郷蒸溜所のモルト原酒をバーボン樽、シェリー樽、赤ワイン樽でそれぞれ熟成しブレンド。

4)日の丸ウイスキー ポートカスクフィニッシュ

シェリー樽で4年間熟成させたのち、ポートワイン樽で1年間熟成しフィニッシュさせたシングルモルトのジャパニーズウイスキー。

5)日の丸ウイスキー さくらカスク

オリジナルの国産さくら樽で6年間熟成させたシングルモルトのジャパニーズウイスキー。
赤みを帯びた美しい色合いに加え、甘い花の香りに、うっとりしました。
WEB応募のみの限定販売品で、受付開始後、すぐにSOLD OUTしてしまったそう。

八郷でつくれるウイスキーの特徴は、甘い香りココナッツバニラの香り。

木内社長は、「貯蔵よりも水が大事、生まれてくる微生物環境が味わいに影響する。」と話します。

見学ツアーに参加し、試飲をする中で、自分好みの日の丸ウイスキーを見つけてみてはいかがでしょうか。

 

八郷蒸溜所ガイド付き見学ツアー

2023年現在、試飲付きの蒸溜所見学コースの情報です。

【一般見学】

実施期間 : 土曜・日曜・祝日
時間帯  : ①10:45~ ②14:25~
所要時間 : 約60分
製造工程の見学(約35分) ⇒ ウイスキーの試飲(約25分)
参加費  : 1,000円/人(大人:税込)
※当日お車を運転される方、お酒が飲めない方には、試飲の代わりとして「葡萄の果汁」500ml持ち帰り可。
※20歳未満は無料。ただし、20歳未満のみでの見学参加は不可。
受入人数 : 各回10名

試飲付きの蒸溜所見学コースへのお申し込み、キャンセル規約などの詳細については、以下のリンクからご覧ください。
https://www.hinomaruwhisky.jp/service-page/八郷蒸溜所ガイド付き見学ツアー-1

 

木内酒造 八郷蒸留所へのアクセス

●電車
JR常磐線「石岡駅」よりタクシーで約35分

●車
常磐道「土浦北IC」から約20分
常磐道「千代田石岡IC」または「石岡小美玉スマートIC」より約20分

●バス
関東鉄道グリーンバス一番乗り場(フラワーパーク経由 柿岡車庫行き)

東京駅からは、常磐道を利用し、お車で約1時間10分ほどで到着します。

アルコールが飲めない or 飲まない方に運転していただいて、お車での訪問をおすすめします。

試飲をするからという理由もありますが、食べることが大好き!な、木内社長がプロデュースしたとんかつレストラン「蔵+かつ 八郷店(旧:Yasato de トレタ)」へもぜひ訪れてほしいです。

“とんかつってこんなに美味しかったかな”

と思わせてくれる、脂っこいもの苦手な私でもペロリと食べ切ってしまうイチオシのレストランです。

次回のブログでは、「蔵+かつ 八郷店」への訪問記事を書きますね。

それでは!

追伸
木内社長は情熱的な紳士、かつClever/Intelligent/Wiseなのに、
ユーモアセンス抜群で、すっかりファンになっちゃいました!

 

♦️関連記事♦️
・木内酒造が経営するとんかつレストラン「蔵+かつ 八郷店」へいってきました!

 

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八郷蒸溜所
やさとじょうりゅうじょ
Yasato Distillery

運営:木内酒造株式会社
開業:2020年(令和2年)稼働
住所:〒315-0151 茨城県石岡市須釜1300-8
TEL:0299-56-7555(八郷蒸溜所直通)
Mail:yasato-reception@kodawari.cc
営業時間:9:00〜17:00
蒸溜所見学:土曜、日曜、祝日
Website:https://kodawari.cc/brewery/yasatodistillery.html
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