株式会社笹目宗兵衛商店とは
茨城県の県央地域、笠間市の造り酒屋、株式会社笹目宗兵衛商店。
1873年(明治6年)創業。
初代は、笹目宗兵衛(ささめ そうべえ)氏。
元々は、霞ヶ浦の水運の拠点として栄えた現在の茨城県石岡市高浜で、廻船業*を主に、醤油・味噌等の醸造業を行なっていました。
*港から港へ旅客や貨物を運んで回る船のこと(今でいう海運・物流・倉庫業)
江戸時代、笠間藩主であった牧野家が醸造元として現在地で酒蔵を営んでおりましたが、明治に入り笹目家に経営を譲ったことで、笹目宗兵衛商店として始業。
蔵の譲受とともに提供された歌
「二波山 松の緑りの色たけく よろずよかけて なお榮ゆらん」
『二波山』は、蔵から南西に見える茨城県の名峰「筑波山」と「加波山」をシンボルに、
【二波山 松緑】(ふたばさん まつみどり)
が、笹目宗兵衛商店の主要銘柄となりました。
笹目宗兵衛商店は日本三大稲荷、笠間稲荷神社の御神酒を醸造
年間300万人もの観光客が訪れる茨城県笠間市。
初詣には約80万人もの参拝者が訪れる笠間稲荷神社は、日本三大稲荷・関東三大稲荷のひとつにも数えられる関東を代表する稲荷神社です。
その笠間稲荷神社の大鳥居正面に、古風な佇まいの風情漂う屋敷があり、そこが笹目宗兵衛商店の酒蔵・直売所となっています。
笠間稲荷神社の御祭神は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。
生命の根源を司る「いのち」の根の神として農業、工業、商業、水産業など、あらゆる殖産興業の守護神。
人々の生活すべてに御神徳を授けて下さる笠間稲荷神社の御神酒を、笹目宗兵衛商店にて代々醸造しています。
たった一粒の籾(この日始めた些細なこと)が万倍にも実る稲穂になる日とされる一粒万倍日。
何事を始めるのも良い日とされる一粒万倍日に御祈祷を受けた神霊あらたかな【二波山 松緑 御祈祷酒】は、商売繁盛・開運祈願として、記念に購入される方も多いそうです。
株式会社笹目宗兵衛商店の酒造りと味わいの特徴
古くより、笠間稲荷神社の御神酒を醸造する笹目宗兵衛商店の仕込み期間は、毎年11月中旬から4月上旬。
笠間盆地の厳寒身を切るような大気のなか、蔵から約300メートル離れた井戸からくみ上げた佐白山(さしろさん)・地下伏流水の軟水で仕込みます。
佐白山は、笠間の稲田地区と同様に、マグマが地下深くでゆっくり冷え固まった花崗岩で形成されています。
花崗岩層の水は、鉄やマグネシウムが少ない水質の軟水で、二波山 松緑もその影響を受け、比較的すっきり飲みやすい酒を産み出していることが特徴となっています。
酒蔵のホームページには、「伝承の醸造で造られた酒は、甘・辛・酸・苦・渋の五味がほどよく調和した一品です」と記載があり、この五味がまろやかな軟水と絡み合った味わいが、【二波山 松緑】といえるでしょう。
すっきり淡麗の飲み飽きしない酒
笠間のお土産として最もポピュラーな味わいをと、良質の米・水を使い、手作業で酒を仕込むことによって、機械ではできない微妙な調整を行いながら少量多品種生産をおこなっています。
南部杜氏スタイルをベースに、
- 大吟醸は兵庫県の山田錦を原料に32日間かけて発酵させ、まろやかさを
- 純米酒は長野県の美山錦を30日間発酵させ
- 本醸造は加熱処理せずアルコール度数を18.5%と高めに設定して
使用する米や水の特徴を活かしながら、各特定名称酒がそれぞれの個性を出した商品となっています。
笹目宗兵衛商店は、茨城県の酒蔵でも数少ない観光酒蔵になっており、蔵直売所で購入できる日本酒は、長時間移動でも老ねを気にしなくてよい常温タイプの地酒が多く並びます。
常温のお酒では、すっきりした飲み飽きしないお酒(≒淡麗辛口タイプ)が多いのですが、私のマイベスト・フタバサンマツミドリは、にごり酒です!
つい飲みすぎてしまう私のおすすめ酒は【二波山 松緑】にごり酒
私が【二波山 松緑】にごり酒を初めていただいたのは、水戸市の「味処 にし村」さん。
にし村さんへ訪れた際の記事にも記載しましたが、改めてこちらでもご紹介しますね♪
おすすめ①【二波山 松緑】にごり酒
日本酒度-10という書き込みを拝見しましたが、実際は甘さ控えめの淡麗にごり酒。甘味がありつつもあっさりした味わいの飯米・日本晴を使用しているからでしょうか。
精米歩合70%、アルコール度数15%である普通酒の【二波山 松緑】にごり酒は、乳酸のほどよい酸味、レモンやミントのようなさわやかな爽快感があります。
レモンスカッシュにちょっとヨーグルト入れたようなまろやかな飲み口で、しゅわっとスイスイィ〜飲めてしまったのでノックアウト要注意な美酒でした。
食事を一旦ストップしてお酒だけしばらく飲み続けてみると、若さあふれる渋さと苦みも顔を出してきます。
(口中がクリアな食前にトライしてみると、よりわかりやすいかもしれません。)
まだ日本酒を飲む習慣がない方や、ヨーグルトや酒粕で作った甘さ控えめな甘酒がお好きな方にはハマる一本になるでしょう。
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おすすめ②【二波山 松緑】特別純米 特撰
上述のにごり酒とは正反対。
普段から日本酒に飲み慣れている上級者向けにオススメの【二波山 松緑】特別純米 特撰。
精米歩合60%、アルコール度数15.0度、酒米の品種名は不明ですが、笠間の蔵で使用されることの多い飯米・日本晴でしょうか。
米の旨みが詰まったコクと柔らかな香りに、酸が立ち、さっぱりした飲み口。
笹目宗兵衛商店が目指すバランスの良い五味「甘・辛・酸・苦・渋」が表現された一本です。
一口目を、口に含むとセメダイン香が鼻に抜け、エンディングには程よい苦みにキレ。
冷や、ぬる燗、燗酒の飲み方のうち、私なら燗酒がおすすめ。
酸が醸し出す舌触りとキレが良いので、飲み飽きせず、食中酒として最適。
鯖の味噌煮、焼鳥、オクラや大葉の天ぷらとペアリングしてみたい一本です。
さて、次回の後編「【県央酒蔵見学】株式会社笹目宗兵衛商店へサケメグリにいってきました!」では、観光酒蔵となっている蔵内の様子や、笹目宗兵衛商店までのアクセス方法、訪れてほしい近隣のおすすめスポットについてご紹介します。
お楽しみに!
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笹目宗兵衛商店 前編
・【県央酒蔵見学】株式会社笹目宗兵衛商店へサケメグリにいってきました!
二波山 松緑が飲めるお店
・水戸で魚料理の日本食「味処 にし村」へいってきました!
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株式会社 笹目宗兵衛商店
かぶしきがいしゃ ささめそうべえしょうてん
SASAME SOUBĒ Shouten
代表:笹目 由香子
創業:1873年(明治6年)
住所:〒309-1611 茨城県笠間市笠間1339
TEL:0246-72-0021
FAX:0246-72-1633
Web:https://matsumidori.com
蔵見学:可能
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