株式会社剛烈酒造とは
茨城県常陸太田市の南西部・旧金砂郷地区にて190余年、酒造業を営む株式会社剛烈酒造(ごうれつしゅぞう)。
水戸藩9代目藩主・徳川斉昭が藩政改革を始めた江戸時代後期の1830年(文政13年・天保元年)、現在地である茨城県常陸太田市大里町(旧・茨城県久慈郡金砂郷町大里)にて酒造業を創業します。
蔵元を経営する富永家は、金砂郷地方の地主・庄屋として、江戸時代中期に小作米の加工を行っていたことがきっかけとなり、酒造りを始めたと伝えられています。
創業者である初代・富永剛一郎氏は、自身の名である「剛」と、徳川斉昭公の諡名(おくりな)「烈公」の字にちなみ、清酒【剛烈】(ごうれつ / GŌRETSU)と命名しました。
庄屋であった頃から、蔵には約3,000坪の敷地があり、大正時代に建てられた醸造蔵を現在も使用しています。
また、焼酎も造っているため、蒸留を行うための木造の蒸留棟も保有しています。
創業から100年経過した1931年(昭和6年)2月、個人事業主から「合資会社 剛烈富永酒造店」へ法人成り。
剛烈酒造では、古くから
酒は辛口をもって良しとする。
を蔵のポリシーとし、
硬質の水を使った豪快で個性のある日本酒を醸造してきました。
しかし、1970年代半ばになると、日本酒は甘口が流行し始めました。
高度成長期の真っ只中、地方文化は軽視され、大手の酒造メーカーに桶売りをする造り酒屋も多かった時代。
そのような風潮でも、時代に迎合しなかった当時の社長で5代目の富永剛一郎さんは、
甘い酒を造れば、日本酒は滅びる。
と、辛口酒醸造を頑なに譲りませんでした。
1984年(昭和59年)、現在代表をつとめる富永継則さんが6代目として事業継承します。
継則さんが社長となってからも、ひとしきり、甘いお酒が主流でした。
杜氏からは「【剛烈】の名前では自分の造った酒が売れず淋しいです。」とこぼされることも。
お酒の味には自信と誇りがあった継則社長は、問屋を通さず消費者へ直接販売を行うスタイルを確立。首都圏の団地を片っ端から訪問し、集会所で試飲会やアンケートを実施するなど地道な営業活動を増やしていきました。
当時、業界の掟破りともいえるこの方法により、同業者からの営業妨害も少なくなかったといいます。容赦ない妨害にもめげず、富永家が築いてきた信念を守りたい一心で、知恵をしぼり、独自のアイディアで困難を乗り越えてきました。
2010年(平成22年)、茨城県知事より経営革新計画が認定され、2014年(平成26年)には、樽仲間(焼酎の小規模仕込み)の事業を開始するなど、歴史を守りながらも、同時に新しい試みにも積極的に挑戦し、革新を恐れずに邁進。
2019年(平成31年・令和元年)、株式会社剛烈酒造へと組織変更。
蔵の信念である“酒は辛口をもって良しとする”酒造りは、創業以来今も大切に守り継がれています。
常陸秋そばで有名な金砂郷周辺の環境
茨城県北(けんぽく)地域の中央に長くそびえる茨城県常陸太田市。
その常陸太田市の南西部・旧金砂郷地区に剛烈酒造の蔵があります。
金砂郷(かなさごう)といえば、常陸秋そばの有名な産地。
現在食されている常陸秋そばは、旧金砂郷村在来種から選別育成、不良形質を淘汰しながら生まれた改良品種であり、その折りに作付けされたエリアが赤土町(あかづちちょう/ Akazuchi chō)という地域。
常陸秋そば発祥の地である赤土町は、文字の通り赤い土壌で、山あいの傾斜地にそば畑が広がっています。
山間部は昼夜気温差が大きく、霧が立ち込める地形から、千粒重がやや重めで粒揃いの良い品質のそばが育ちます。
蕎麦は台風や大雨の影響を受けやすく、品質の良い蕎麦の実ができるかは、その土地の水はけの良さが重要な条件となっています。
赤土町では、水田が少なく小石の混ざった土地であるという特徴があります。
常陸太田市は酒蔵をたくさん有する地域ですのでもちろん米どころですが、赤土町そして近隣の下宮河内町(しもみやかわうちちょう)、上利員町(かみとしかずちょう)では、元来、お米の代用食として古くからタバコの生産の後作に蕎麦を作っていたのだそう。
そばの品質は、「香り」「風味」「甘み」等によって判断されますが、常陸秋そばはそのすべてにおいて優れており、特に香りの良さが抜群に素晴らしく、2021年現在最も高値で取引されているのがこの常陸秋そばです。
誰が打っても打ちやすく、そばを打った時のつながりが良いため失敗が少なく、品質が素晴らしいため、そば職人が赤土町まで直接買い付けに訪れるなど、その品質の高さを物語っています。
その昔、継則社長が出張で訪れた長野県で信州そばを食べていた時、「信州そばの蕎麦は金砂郷のそばには敵わない。」とそば職人に言われて驚いたそうです。
そんな有名な蕎麦どころで、唯一そば焼酎を造る剛烈酒造。
近年は、通常の麦焼酎、米焼酎、そしてそば焼酎の他にも、新しい取り組みとして、地元産のカボチャやサツマイモを使用した焼酎も販売しています。
小規模蒸留装置を使用したオリジナル焼酎造り
剛烈酒造では、清酒【剛烈】のほか、様々な原材料を使用した焼酎醸造に力を入れているのが茨城県内の他の蔵にはない特徴です。
代表的な3つの焼酎をご紹介します。
(詳細は、後日記事「【県北酒蔵見学】株式会社剛烈酒造の銘柄とその味わい!」にて。)
2013年から新たに始まった小規模醸造では、過疎地域の活性化のため過疎地域となっている里川地区の里川カボチャを使用した焼酎『Sake de pumpkin』(サケ・ド・パンプキン)。
2015年春に地元の希少な金砂郷産そば100%を使用した、そば焼酎『極みの金砂郷』(きわみのかなさごう)。
3つ目は、地元産のさつまいもを使用した、芋焼酎『極みの紅はるか』『極みの安納芋』。
原材料によっては焼酎に向くもの、向かないものがありますが、富永社長にご相談いただければきっと素敵な回答が返ってくるはず。とてもチャレンジャーで私がいつもたくさんの知見をいただいていますので、いつかオリジナル焼酎つくっていただきたいなーなんて思っています。
(茨城なので納豆・・・いや、なんでもないです。。。それはちょっとこわいけどきっと誰か相談したことあります・・・よね?)
オリジナル焼酎オーダーの流れですが、
①焼酎にしたい素材について、以下のコンタクトフォームへ記入して相談。
https://www.gouretsu.jp/contact
②素材や量、仕入れ時期、醸造期間、販売時期のすりあわせ後に、お見積もりを提出。
(その段階で一度、お目にかかって詳細を打ち合わせ。)
③素材を用いた醸造方法の検討。販売価格やパッケージ、ラベルなどを一緒に決定。
④醸造方法が決定後、素材の納品、酒造開始。
他の酒造りの時期と重なるときもあり、完成までには約1ヶ月~6ヶ月を要するとのこと。
オリジナル焼酎をつくってみたい方は、早めにご相談されることをおすすめします!
それでは!
♦︎関連記事♦︎
・蔵元と一緒に地元の歴史を巡る旅!-赤土町の常陸秋そば編-
・【県北酒蔵見学】株式会社剛烈酒造へサケメグリにいってきました!
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株式会社 剛烈酒造
かぶしきがいしゃ ごうれつしゅぞう
Gōretsu Brewery / Gouretsu Shuzō
代表:富永 継則
創業:1830年(天保元年)
設立:1931年(昭和6年)2月
住所:〒313-0125 茨城県常陸太田市大里町3401
TEL:0294-76-2007
FAX:0294-76-2350
Web:https://www.gouretsu.jp/
Mail:https://www.gouretsu.jp/contact
蔵見学:完全予約制(蔵直売所は予約不要)
定休日:土曜、日曜、祝日、年末年始
営業時間:9:00-17:00(平日)
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